性病治療に使用される抗生物質の基礎知識
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(photo by Gruenewiese86)
性行為感染症の原因の多くは細菌やウィルスの感染です。
痒みや痛みなどの症状を抑える薬や胃粘膜保護のための胃薬の処方をする事もありますが、基本的には性病の原因となる細菌やウィルスを退治する抗生物質を処方する事が一般的です。
抗生物質と言っても発見当初の1種類から、研究者の成果で250種類以上あり現在使われているだけでも100種類があります。
抗生物質の選択基準
では100種類もの抗生物質の中からどのような基準によって処方される抗生物質は選択されているのでしょう。
抗生物質は構成する組成により幾つかの系統に分かれています。
- マクロライド系
- ペニシリン系
- セフェム系
- テトラサイクリン系
- ニューキノロン系
幾つか分かれた系統を診察や検査で炎症が起きている臓器、原因菌を予想して系統を選択します。選択した中から以下の項目を踏まえて使用する抗生物質を決めていきます。
@ 副作用が少なく、一般的な細菌に効果がある。
A 健康保険の保険診療で認められている。
B 病院独自の使用基準、医師の好み。
C 内服方法が簡単で効果が持続する。
性行為感染症治療で使用する主な抗生物質の例
性行為感染症での病院を受診した時に処方される主な抗生物質例を紹介します。
性行為感染症 | 使用する抗生物質系統 |
---|---|
クラミジア |
テトラサイクリン系 マイクロライド系 ニューキノロン系 |
梅毒 |
ペニシリン系 マイクロライド系 |
淋病 |
セフェム系 ペニシリン系 ニューキノロン系 |
1つの病気に1つの薬剤であればわかりやすいのですが、同じ抗生物質の系統であっても成分によって商品名が違ったり、同じ病気でも原因菌の詳細な種類によって効く抗生物質と効かない抗生物質があります。
抗生物質を使用する際の注意点
治療が完了するまで途中でやめない
症状が良くなったからと言って途中で投与をやめてしまうと、次に罹った時に同じ薬が効かなくなる可能性があります。治療を行った際は再検査で原因となる菌・ウイルスがいなくなったことを必ず確認すること。
症状が良くなっても治ったことにはなりません。病気の原因菌を完全に退治しないまま放置すると、退治し切れなかった菌に耐性が生まれます。このような事が繰り返されることにより、効果のあるはずの抗生物質が何も効かないという事態を引き起こします。特に淋菌の耐性の進化は凄まじく、経口摂取する抗生物質がほとんど効かない菌も発見されています。
感染している性病を正確に把握する
性病の特徴として“一つの病気にかかると他の病気の感染率が上がる”という点があげられます。症状が出ていなくても複数の性病に感染している場合、抗生物質で1種類の原因菌を退治しても、感染している他の病気により新たに感染を起こすことが考えられます。自覚症状の有無に関わらず、治療の前には正しい検査を行い自分が感染している性病をきちんと把握しましょう。
検査の結果、複数の性病に感染している場合、治療薬の選択には専門知識が必須となりますので必ず医師の診断を受けること。
以下の場合は医師の指示を仰ぐ
- 乳児・小児への投与
- 妊婦・授乳中の女性
- 持病等で他の薬を服用している
抗生物質はその種類によって、乳児・小児や妊婦さんへの投与が禁忌されているものもあります。また、他の薬品の成分と反応して強烈な副作用を発症するものもあるので、そのような場合には自己判断で勝手な服用は絶対に避けること。他にも気になる点がある場合は必ず医師に相談してください。
性行為感染症に関しては第一選択としてマイクロライド系の「ジスロマック(成分:アジスロマイシン)」が使われる事が多いです。
「ジスロマック/アジスロマイシン」は他の抗生物質と違い1回の投与で10〜14日間の効果持続があるため、飲み忘れや自己判断の休薬を予防できるというメリットがあります。
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